畳からフローリングへの改修

鳥取県倉吉市の共同住宅において居室の畳をフローリングへと変更する改修を行いました。ここでは具体的な工事の流れを記載します。6畳の大きさであれば2日ほどで工事が完了します。工事を通して上手くいった箇所とそうでない箇所、また新たな気づきがありますので写真とともに記載します。

目次:
1.既存のレベル測定
2.床下の確認
3.下地
4.下地の継ぎ目にのこぎりの刃を入れる
5.フローリング貼り
6.貼り方向による比較

7.材料など

既存状況。

1.既存のレベル測定

もともと敷いてある畳を処分した後に畳下のベニヤのレベル(高さ)を測定します。建築の竣工当時にはもちろん水平に造られていますが、数ミリの誤差は生じるので測定します。居室の隅と各辺の真ん中、居室の中心など数カ所測定していきます。この時は3ミリほどの誤差がありました。また、既存の畳寄せと窓枠、敷居のレベルも測定します。この畳寄せや窓枠のレベルの最も高い箇所をフローリングの仕上がり高さの基準とします。最も高い位置から1~2ミリ下がった位置をフローリングの仕上がり高さとします。

このレベル測定は実際にフローリングを施工する日の数日前に行っています。材料を注文するために必要となるからです。

既存下地ベニヤ。数カ所のレベル(高さ)を測定します。

2.床下の確認

鉄筋コンクリート造(RC造)である居室の床下の状況を確認しました。30年前の竣工当時の状況のままで、コンクリートの床の上に90×64mmの大引を流し、その上に根太を敷いてある構成となっていました。大引はコンクリートの床の上にモルタルを敷いて高さを決定し、そのあとモルタルが硬化した後に、床から出したボルトとナットで固定してありました。

既存の床下状況。コンクリートの上に大引と根太が敷かれていました。

3.下地

既存のベニヤの上に新たな下地を形成していきます。もともと敷いてある根太に対して直交する方向に根太を敷きます。下の写真ではもともと既存の根太は写真と水平方向に入れられていたので、今回形成する根太は既存と直交する写真の向きになっています。根太を直交させるのでたわみが少なく、構造が安定します。

この時は杉材の52.5×30mmの寸法のものを使用しました。根太の高さ(今回は30mm)は仕上がりの寸法によって決まりますが幅は大工と相談して決めます。根太の上に貼るベニヤのかかり代を確保するためです。

下地の所々に既存の高さを調整する数ミリのパッキンを入れ水平になるよう調整されています。根太の間隔は250mmとしてあります。

下地状況。この上にベニヤ板を貼ります。

4.下地の継ぎ目にのこぎりの刃を入れる

上記の根太による下地を形成する前に現状は密接している既存ベニヤの継ぎ目にのこぎりの刃一枚分の切れ目を入れます。これによりベニヤ同士の継ぎ目に1ミリほどの隙間ができ、ベニヤの上を人が歩いて踏んだ時に多少たわみが生じてもベニヤ同士がこすれることがなく「床なり」が起こりにくくなるようです。

「床なり」を起こりにくくするため、既存ベニヤの継ぎ目にのこぎりの刃で切れ目を入れておきます。

5.フローリング貼り

根太の上にベニヤを貼り終えた後、フローリングを貼っていきます。ボンドと釘を併用します。
フローリングを貼り始める前に貼り始めの幅寸法を決定しておきます。この時は幅75mmのフローリングを使用しました。10枚ほど実際に並べてみて、貼った時にどのくらい伸びるのかを把握しておきます。この時は一枚につき0.5mm伸びがあったので1枚を75.5mmとして計算し、貼り終わりの幅寸法を推測しました。貼り終わりの幅寸法を窓枠の幅の見つけ寸法55mmと同じになるようにしています。そのため貼り始め一枚目の幅を57mmとしています。

無垢のフローリングの場合、季節による伸び縮みを考慮してフローリングとフローリングの間に0.5ミリ程度のパッキンを挟みながら貼っていく場合があります。この時は無垢材を使用していますが、夏の梅雨の時期であったので水分を含んだ状態のフローリングの幅はこれ以上伸びることはないと予測し、パッキンを使用せずに貼っています。

万が一メンテナンスなどでフローリングを一部剥がさなければならなくなった時には、後に貼ったものの方が剥がしやすいです。雨などでの漏水の可能性がある外窓側を最後に貼れるよう、貼り始めを写真手前としています。

フローリング貼り施工状況。

貼り終わりのフローリング幅を窓枠の幅に合わせています。

6.貼り方向による比較

この時はもう一つ居室の畳からフローリングへの改修を行いました。こちらは大きさは上記のものとほぼ同じですが、居室が長方形に近い平面だったので室内側からの視線が緑のある外部に向かうよう、外窓に向かう方向でフローリングを貼っています。根太の方向は上記のものと同じなので、こちらは新たに形成した根太とフローリングが水平になります。

根太に対してフローリングを直交に貼った上記のものと比較すると、フローリングを踏んだ時の安定感が上記のものと異なるように感じました。上記のフローリングと根太の方向が直交しているものの方が踏んだ時に安定しているように感じました。実際にはほとんど分かりませんが、フローリングと根太が水平の場合、フローリングにほんのわずかなたわみが生じているように感じられました。

上記と貼り方向を変えた居室。

7.材料など

今回は、オークの15mm厚×75mm幅×1800mm(IOC製)のものを使用しています。表面はUV塗装となっており、薄い被膜が形成されています。

(2020年9月8日記/山田)