コンクリートは施工の方法を変えることでいろいろな仕上げとすることができます。コンクリートの壁の仕上げでこれまでに実際に施工を経験したものを中心に6種記載します。
目次:
1.普通型枠による打ち放し
2.こたたき仕上げ・びしゃん仕上げ
3.杉板型枠コンクリート
4.ラーチ合板による仕上げ
5.高圧洗浄による仕上げ
6.その他
1.普通型枠による打ち放し
コンクリート打ち放し用の型枠であるパネコートを用いてコンクリートを打設する仕上げです。パネコートは表面に黄色のウレタン材が塗装してある板で、表面が滑らかになっているため型枠を解体する際にコンクリートと型枠材が剥がれやすくなります。パネコートの規格サイズは900×1800mmと600×1800mmがあり、仕上がりの継ぎ目のラインを通したい時などには1000×2000mmのサイズのものを使用することもあります。
完成した時にパネコートの表面の微細な柄やくぼみ、線のようになっている箇所がコンクリート表面に模様となって表れることにより、パネル一枚一枚の表情が異なるのが分かります。


2.こたたき仕上げ・びしゃん仕上げ
コンクリートの表面を専用の工具で叩き、凹凸をつけることによりコンクリート表面を粗くする仕上げです。コンクリートなどを解体するときに使用する「はつり機」の先端に凹凸のついた鉄の部品を取り付け、コンクリート表面に振動を与えることにより施工をすることができます。先端の鉄は凹凸のサイズを変えることにより仕上げを粗くしたり細やかにすることができます。施工のスピードは職方にもよると思いますが一日に畳2枚分程度で、施工中は建物中を大きな音が響きわたります。


「びしゃん仕上げ」はこたたきの後にびしゃんと呼ばれるハンマーのようなもので表面を叩いて凹凸を小さくする仕上げです。これらは石の加工に似ています。
3.杉板型枠コンクリート
普通打ち放しコンクリートの型枠に杉板を貼り付けコンクリートを流し込むことにより表面に杉の模様ができあがる仕上げです。使用する杉板の幅は50、90、100mmなど意匠により決定します。縦使いとする場合は分割して運ぶことができるので、工場で杉板をパネルに貼り現場に持ち込みます。横使いとした場合は現場で型枠パネルを建込み、その後に杉板を貼ります。

使用する杉板の表面の状態により仕上がりが決定されます。杉板の表面が滑らかに加工されて模様がはっきりと表れるものよりも杉板の表面が少し粗いものの方が仕上がりも自然に近く、力強くなると考えています。杉板の材を選定するときは現場でモックアップを製作し実際に確かめてから決定します。

4.ラーチ合板による仕上げ
打ち放し仕上げで用いたパネコートの代わりにラーチ合板を用いてコンクリートを打設する方法です。ラーチ合板の柄がコンクリートに模様となって表れます。
このラーチ合板は室内で用いる材料なので型枠に使用すると雨などで水分を含み反ることがあります。また表面の微細な凹凸や色味もコンクリートに表れるので使用するときは均一な材を揃える必要があります。型枠解体時はコンクリート表面と型枠が付着し薄くはがれてしまうことがあります。予めラーチ合板表面にウレタン材を塗り表面を滑らかにしておくと良いようです。

5.高圧洗浄による仕上げ
こちらはまだ施工の経験がありませんが、打ち放しコンクリートの表面に高圧洗浄機で水圧をかけ粗くしていく仕上げです。コンクリート表面のセメントを高圧洗浄によって落とし凹凸をつけていきます。この水圧をかけて表面に凹凸をつける施工は土木工事でコンクリートを打ち継ぐ時に使用されます。
一度現場で型枠を解体した後に簡易的な高圧洗浄機を用いてコンクリート表面に水圧を与えたことがありますが、コンクリート表面に少しの変化も起こりませんでした。圧力の大きい洗浄機を使用しなければならないようです。
6.その他
薬剤の塗られたフィルムを型枠に貼り付けコンクリートを打設するもの。薬剤によりコンクリート表面の2~4mmのセメントが硬化せず中の骨材が表面に見える仕上がりとなります。このフィルムシートは土木工事のコンクリート打継ぎ面で用いられるものです。一度モックアップとして現場で試しました。仕上がりは上記の「こたたき仕上げ」に似ていますがコンクリート内部の骨材がそのままの状態で表れるので、角ばった骨材が使用されている場合、鋭利な印象を受けます。中の骨材により表情が異なることが分かります。


参考:リタメイトCJ/三光株式会社
(2020年8月27日記/山田)