フローリング選定

共同住宅の改修に合わせて床材(フローリング)の選定を行いました。畳からフローリングへの改修で、様々な種類のフローリングがある中で選定する際に考えたこと等を記載します。

 目次:
1.無垢(ムク)材と複合材
2.塗装
3.メンテナンス
4.巾(はば)
5.厚み
6.施工
7.定尺と乱尺
8.種類

 

1.無垢(ムク)材と複合材

フローリングは材料により大きく分けて2種類あります。 木材をそのまま使用した「無垢(ムク)材」とフローリングの表面に仕上げの薄い板を貼った「複合材」です。
複合材表面の薄い板は厚みが1mmや2mm、3mmのものがあり、厚くなればなるほど触れた時の感触が無垢に近いものとなります。触れたときの感触は、無垢の方が柔らかく、複合材の方が合板を使用しているので硬いという感覚があります。無垢材は90mm以下の巾のものが種類が多く、それ以上の幅では複合フローリングの方が種類が多いです。巾が広いと無垢の材料が確保できないことや、無垢で巾が広いと季節による木の伸縮が大きくなりすぎ、フローリング材には適さないようです。
表面の木の模様や色味は複合材の方が並べた時に均一に近く、無垢材は同じ材であっても色の差が多いように思います。

2.塗装

フローリング表面の塗装の種類には大きく分けて2種類あります。「オイル塗装」と「UV塗装」です。
「オイル塗装」は木に浸透する塗装で自然塗料のオスモオイルなどが使われます。
「UV塗装」は木の表面に膜をつくる塗装です。このUVとは紫外線という意味の「Ultra Vioret」の略であり、工場でフローリング材の表面に紫外線を当てて薬剤を硬化させるようです。 触れた時の感触はオイル塗装のほうが直接木に触れている感覚に近いです。 塗膜系のUV塗装は太陽が当たった時に反射が多いのが特徴かと思います。そのため室内に入って床面を見た時に床面に太陽の反射を感じることがあります。反対にオイル塗装は太陽による反射が少なく木の模様を見ることができます。

3.メンテナンス

「UV塗装」は表面の膜が剥がれてこない限りメンテナンスを行わなくて良いことになっています。ワックスも不要です。 「オイル塗装」については一年ごとに塗料を上から塗るメンテナンスを行うのが好ましいとされています。
表面の塗装によりフローリングに水などが付着した時に水分をはじき、しみや汚れを防ぐことができます。

施工に関しては、UV塗装よりもオイル塗装の方が行いやすいです。理由は容易に補修ができるからです。傷などの付いた箇所にオスモオイルを塗ることで容易に補修ができます。
反対に塗膜のUV塗装は補修が容易ではなく、専門の業者に依頼して補修することになります。フローリングの表面に粘着系のテープを貼り、剥がした時に一緒にフローリング表面の塗装が剥がれてしまうことがあるので注意が必要です。

他にもメーカーによっては浸透性でメンテナンスを行わなくても良い「ガラス塗装」や浸透性で自然の植物塗料による「草木染」もあります。
「無塗装」は、何も塗られていないフローリングで施工後に現場で塗装を行います。

4.巾(はば)

フローリングの巾は一般には小さいもので60mmや75mm、材料の種類が多いのは90mmや120mmのもので、他に150mmや200mm以上の巾のものもあります。
6畳程度の大きさの室であれば90mm以下の60mmや75mm巾を選定するようにしています。巾が大きくなりすぎると室を狭く感じることがあるためです。

5.厚み

フローリングの厚みはよく使用するもので15mm(1.5cm)、改修などの時には床の厚みの関係で12mm(1.2cm)のものを使用することもあります。
他にも杉材で反り防止のために40mm(4cm)の厚みのものを使用しているということを聞いたこともあります。

6. 施工

現場には10枚前後を1ケースとして梱包され送られてきます。フローリングを施工するときは一度フローリングを箱から取り出し、壁に並べ、色味の似たもの同士を3〜4種類に分けてから貼るようにしています。色味の似た安定したものを一番よく利用する箇所に使用し、色味が安定しないものは台の下や収納の中など、少し見えにくい箇所に使用するようにしています。

無垢材は季節により伸び縮みがあるので、施工の際に板と板の間に0.5mm程度のパッキンをはさみ隙間を設けながら施工します。ただし梅雨の時期などで木が多く水分を含んでいるときは今後これ以上伸びることはないので隙間を設けず 施工することもあります。現場で大工と相談して決定します。

フローリングには実(さね)と呼ばれる突起が設けてあり、最初に貼ったものに対して次の列のフローリングを差し込む形で順番に貼っていきます。最初に貼ったものより後に貼ったもののほうが万が一のとき剥がして補修しやすくなります。外の窓側などで今後貼り替えの可能性がある場所などは貼る順番が最後になるよう予め貼る基準を決定しておきます。

7.定尺と乱尺

フローリングの貼り方として「定尺」と「乱尺」があります。決められた寸法で貼っていくのが「定尺」です。寸法が決められており継ぎ目のラインが揃います。フローリングの長さは1820mmと決まっているため、室の長さによって無駄が出ないよう考慮します。
ランダムに貼っていくのが「乱尺」です。こちらはランダムな長さで貼っていくのでロスが起こりにくい貼り方です。

他にも継ぎ目の揃う「すだれ貼り」や水平と垂直に小幅材を組み合わせていく「ヘリンボーン」、貼り方向に対して垂直に一枚の材が入る「朝鮮貼り」などがあります。

8.種類

フローリングには多くの種類がありますがもっともよく用いられるのは「オーク(ナラ)」です。一般にオークと呼ばれるものは中国産で、他に北米産のものが使用されます。北欧産のものはヨーロピアンオークと呼ばれ、他の産地のものに比べ木目が細いように思います。日本のものは楢(なら)と呼ばれるようです。
柄がオークに似ているものにアッシュ(タモ)がありますが、こちらはオークと比較して色味は似ていますが木目が太くはっきりしているのが特徴です。

黒色のウォールナットもよく使用されます。表面の色味が揃いやすく現場では使用しやすい材料です。 白色系のバーチやくるみといった材料もあります。バーチは木目が薄く柄が少ないので、化粧室などに使われることがあります。くるみは見た目より軽いのが特徴です。

他にもチークやチェリー、クリ、サペリなど色々なものがあります。表面の塗装の着色によって色味を変えることもできます。
杉やヒノキ材は上記のものに比べて材が柔らかく軽いのが特徴です。これらは針葉樹と呼ばれ、落葉する広葉樹と比べて成長が早く、繊維の構造が単純になるので軽くなるようです。

 チェリーやチークは時間の経過や日焼けにより色の変化が起こりやすい材料です。時間が経過したときのことを考慮しながら選定します。

(2020年7月7日記/山田)